
【導入】介護士の給料、なぜこんなに低いの?
「介護士の仕事って給料安いよね」
そんな一言に、あなたはどう感じますか?
一生懸命、身体も頭も使いながら働いても、手取りは20万円に届くか届かないか。夜勤をこなしてようやく生活ができる。多くの介護士が感じている「こんなに頑張ってるのに…」という思い。
なぜ、介護という社会に欠かせない仕事が、ここまで過小評価されているのでしょうか?
世間では「3K(きつい・汚い・危険)」、あるいは「誰でもできる仕事」なんてイメージも残っています。でもそれはもう過去の話です。
資格も必要、責任も重い、命に関わるケアもある。
それでも給料が上がらない。その根っこにあるのが、“国の制度”なのです。
【本題1】そもそも介護士の給料ってどうやって決まっている?
「介護士の給料が安い」と言っても、その内訳を知っている人は意外と少ないかもしれません。
介護士の給与は、大きく分けて以下のような形で成り立っています。
- 基本給(企業・法人が自由に設定)
- 各種手当(夜勤・資格・処遇改善加算など)
ここでポイントになるのが「処遇改善加算」という仕組み。
これは国が「介護士の待遇を改善するために」と定めた特別な補助金のようなもの。施設や事業所が国に申請することで交付され、それを介護士の給料に上乗せできます。
でもこれ、実はとても不安定です。
加算を受けるには、施設側が細かい条件をクリアしなければならず、書類作成の手間や運営方針の縛りもあるため、「加算はあるけど現場には届かない」「加算の大半が施設運営費に回されている」なんて声も後を絶ちません。
つまり今の給料は、“補助金ありきの不安定な構造”になっているのです。
【本題2】給料の源は“介護報酬”にある
では、そもそもその給料を支えているお金はどこから来ているのか?
答えはひとつ。「介護報酬」です。
介護報酬とは、介護保険制度のもとで国が定めた「サービスの値段」のこと。たとえば…
- デイサービス1日:◯◯円
- 訪問介護30分:◯◯円
- 特養の1ヶ月:◯◯円
…という具合に、国が全国一律で価格を決めています。
介護事業所は、その報酬の中から人件費、施設の光熱費、備品、車両、管理コストなどすべてをまかないます。
そして、残ったお金が職員の給料に回されるのです。
つまり、いくら利用者が多くても、国が決めた報酬単価が低ければ、職員に払えるお金も増えないという構造。
企業努力では限界があるんです。

しんさつさん、どうして介護士の給料ってなかなか上がらないの?



いい質問ね。介護の現場は国が決めた「介護報酬」っていう制度に左右されるの。これが低いままだと、現場の給料も上がらないのよ。



ふむふむ…じゃあ報酬を上げるにはどうすればいいの?



それはね、国の制度を変える必要があるわ。つまり、政治に関心を持って、選挙で介護に力を入れる人を選ぶことが大切なの。



なるほど〜!…でもロボットのぼくも選挙って行けるのかなぁ?
【本題3】現場からのリアルな声:「これじゃ生活できない」
制度的な話だけでなく、実際に現場ではどんな苦悩があるのか。リアルな声を拾ってみましょう。
● 訪問介護は1件30分で「400円台」の現実
訪問介護は、たった30分の身体介助で得られる報酬が400〜600円台。
その中から、スタッフの給料、移動時間分の交通費、保険料なども出さなければいけません。
結果的に、「1時間仕事しても、自分の給料は数百円にもならない」という嘆きが。
● 正社員よりパートの方が高い?逆転現象も
フルタイムで働く正職員は、安定性や責任がある代わりに、賞与や社会保険料が引かれて手取りが低い傾向にあります。
一方、パートや派遣は時給ベースで働くため、「結果的にパートの方が収入が多い」ケースも。
努力や責任に見合わない給料体系に、モチベーションが下がっていくのは当然かもしれません。
【本題4】なぜ報酬が上がらないのか?その鍵は“政治”にある
ここが本記事の核心です。
介護報酬は、国(厚生労働省)が3年ごとに見直す制度です。
この報酬改定において、政治的な判断が大きく関わってきます。
● 国家予算の“取り合い”
日本の予算には限りがあり、介護、医療、防衛、教育、公共事業など、あらゆる分野が「予算の取り合い」をしています。
政治家にとって、何に予算を多く割くかは、支持率や選挙の得票に直結します。
● 介護職は“声を上げにくい”
介護職は日々忙しく、選挙で特定の候補を組織的に支援する文化がほぼありません。
医師会、建設業界、農業団体などは組織票を持っており、政治家にとっては“無視できない存在”です。
一方、介護業界は分断されていて、政治的影響力が非常に弱い。
だから、後回しにされがちなのです。
【本題5】ではどうすれば変えられるのか?
答えはひとつ。「政治を動かすこと」。
「介護士の給料を上げたい」と思ったら、報酬制度を変える力のある人を国会に送るしかありません。
- 介護に理解ある候補者を選ぶ
- 支持団体の有無ではなく、“どんな政策を掲げているか”を見る
- 「自分の1票では何も変わらない」は間違い。介護職が投票すれば、無視できない力になります
【まとめ】介護の未来は、私たちの手の中にある
介護士の給料が低いのは、能力や努力の問題ではありません。
制度の問題であり、政治の問題です。
「介護報酬が変われば、給料も変わる」
月給2万〜5万円のベースアップは、決して夢ではありません。
現場のモチベーションが上がれば、離職も減り、人手不足も改善します。
だからこそ、私たちができること――
それは「選挙に行くこと」。
自分たちの仕事を守るために。
未来の介護をもっと誇れるものにするために。