もともと、私の仕事は大型トラックの配送ドライバーでした。
毎日何百キロも走り、荷物を届ける。
正直、体力的にはしんどいけれど、運転自体は嫌いじゃありませんでした。
ラジオを流しながら好きな音楽を口ずさんだり、ふとしたことで独り言をつぶやいたり。
そんな「運転中の自由な時間」が、私にとって大切なものでした。
監視される運転に、自由はなかった
でも、ある時からその“自由”が奪われたように感じる出来事が起きました。
それは──ドライブレコーダー。
それ自体は事故の記録や証拠として必要なのかもしれません。
けれど最近のドラレコは、運転手の様子まで録画されていて、上司がその映像を常にチェックしているんです。
「運転中ぐらい、好きにさせてほしい」
そう思ってしまいました。
たとえば歌を歌うこと、ちょっとした独り言、ため息、愚痴──
全部“見られている”ような気がして、だんだん居心地が悪くなっていったんです。
運転手だって人間です。
ずっとシャキッとしてなきゃいけないの?
そのうち、監視されながら運転するプレッシャーが耐えられなくなって、仕事を辞める決断をしました。
介護職との出会い
もちろん簡単ではありませんでした。
ドライバー不足の今、引き止めも強く、
「次の人が決まるまで辞めるな」と何度も言われました。
何度も話し合いを重ねて、やっと退職できたときは、正直ほっとしました。
でも、その時はまだ次の仕事なんて何も決まっていませんでした。
求人サイトを眺めながら、
「何か自分にできる仕事ってあるのかな……」と考えていた時、
ふと目に入ったのが「介護職・未経験OK」の文字でした。
未経験でもできる?──介護の第一歩
「介護の仕事って、資格がないと無理なんじゃないの?」
そう思っていたけれど、派遣なら未経験からでも始められるらしい。
しかも、続ければ正社員登用もあると書いてありました。
少し考えてから、応募してみることにしました。
今はまだ始まったばかりだけれど、人のためになる仕事にやりがいを感じ始めています。
機械にはできない仕事を
これからの時代、どんどん自動化が進んで、
機械に奪われていく仕事も多いと言われています。
だけど、介護のように「人にしかできない仕事」は、
きっとこれからも必要とされ続ける。
だから私は、人としての仕事を続けていけるこの介護の道を選びました。