
60代の物忘れは心配?正常な老化と認知症の違いを知ろう
60代になると「最近物忘れが増えた…」と感じる場面が確かに増えます。財布や鍵、メモの置き場所が思い出せない、予定をうっかり飛ばしてしまう——そんなとき真っ先に頭をよぎるのが「認知症の始まり?」という不安です。
とはいえ、すべての物忘れが病気のサインとは限りません。年齢とともに誰にでも起こる“正常な老化の範囲”と、注意が必要な“認知症の初期サイン”は、ポイントを押さえれば見分けられます。本記事ではその違いと、今日からできる予防のコツ、困ったときの相談先までまとめて解説します。
要点の先読み
・正常な物忘れ=「思い出す力」の低下。ヒントがあれば思い出せる/自覚がある。
・認知症の物忘れ=体験自体を忘れる。自覚が薄く、判断力や時間感覚の乱れを伴いやすい。
・迷ったらかかりつけ医&地域包括支援センターに相談。早期対応が安心につながる。
正常な物忘れの特徴
- 置き場所を忘れても、時間が経つ・ヒントがあると思い出せる
- 「忘れていた」という自覚がある
- 判断力は保たれ、日常生活に大きな支障は出ない
例:鍵をどこに置いたか忘れたが、探すうちに思い出した/家族の一言で記憶がよみがえった——など。これは記憶そのものは残っていて「取り出す(想起する)」力が落ちている状態です。
認知症の初期サインとしての物忘れ
- 最近の出来事そのものを丸ごと忘れる(手がかりがあっても思い出せない)
- 物忘れの自覚が乏しい(「そんな約束していない」と否定する 等)
- 判断力の低下や時間・場所の混乱が出やすい
例:約束をした事実を覚えていない/物が見当たらないと「盗られた」と疑ってしまう、など。料理や会計など、これまで普通にできた家事手順が滞ることも初期から見られます。

筆者の正直な体験メモ
私自身、単純な物忘れはよくあります。たとえば「さっきまで使っていたハサミ」が行方不明に。数分前の自分の行動を逆再生しても見当たらず、自分に対してイラッとしてしまうこともあります。ここ数年で“物忘れの頻度”は少しずつ増えた実感があり、「極力毎日いろんなことを考えて頭を使おう」と心がけています。と同時に、改めて痛感するのが食生活の改善。分かってはいるのに、つい好きなものばかり選んでしまう——この“クセ”を見直すことが、脳のためにも体のためにも近道だと感じています。

ご不安な点があれば、何でもお話しくださいね。好きな物を楽しみつつ、脳に良い選択を「足す」方向なら続けやすいですよ。



ほら、無理な我慢は続かへんのや〜。美味しく食べて、ちょっとだけ工夫やで。生きてるだけでまるもうけやわ。


物忘れ予防のための3つの習慣
1. 食生活を整える(“足し算”で続ける)
- 青魚(DHA/EPA):週2回を目安に。缶詰も便利。
- 緑黄色野菜・果物:彩りを1品“足す”。
- 大豆製品・オリーブオイル・緑茶:置き換えや間食に活用。
反対に、トランス脂肪酸や過度の飲酒は控えめに。完璧主義より「昨日より一歩良く」を合言葉に。



「禁止」より「置き換え」や「足し算」が続けやすいコツです。



わたし、豆腐にオリーブオイルとお塩ちょびっと。これ、うまいで〜。
2. 有酸素運動を日常化(30分を分割してOK)
- 散歩や体操を10分×3回でも十分な効果
- 買い物はあえて遠回り/階段を使う
- 運動は睡眠の質とストレス軽減にも寄与



近所の公園1周、ドラマの話しながら歩くのがええわ〜。



楽しさとセットにすると、自然と続きますね。
3. 人と関わる(会話は“最高の脳トレ”)
- 家族や友人とのおしゃべり/地域サークル/ボランティア
- 予定づくり・段取りも脳への良い刺激



しんさつさん 会話は「理解→共感→言語化」の複合運動。脳全体を使います。



手ぇ握って話したら、だいたい仲良しになれるんやで〜。
自宅でできるセルフチェック(記録に残すと変化に気づける)
- 同じ質問・話を繰り返すことが増えた
- 物の置き忘れが目立ってきた
- 日付・場所を取り違えるミスがある
- 会話中に言葉が出てこない場面が増えた
複数当てはまるなら軽度認知障害(MCI)の可能性を含めて早めの相談を。チェックは月1回など定期的にメモしておくと、変化を客観視できます。


迷ったらどこに相談?(早いほど安心)
- かかりつけ医:まずはここから。必要に応じて神経内科・物忘れ外来へ紹介。
- 地域包括支援センター:高齢者と家族の無料相談窓口。医療・介護・福祉の情報と橋渡し。
- 自治体の認知症相談:制度・支援サービスの最新情報を得やすい。



「様子を見よう」で長引かせるより、“念のため相談”の方が負担が少ないことが多いです。



困ったら呼んでや〜。一緒に行こ。心細いときは手ぇつなご。
家族ができる寄り添いかた
- まず話を聴く(否定や詰問は混乱を招きやすい)
- ゆっくり・短い言葉で、選択肢は少なめに
- できることは本人のペースで任せ、自尊心を守る
- 不安が強いときは一緒に探す/話題をそっと切り替える



せかされるのは苦手やねん。ゆっくり頼むわ〜。



安心が増えると、できることも自然と増えます。
まとめ:完璧を目指さない、今日の一歩を積み重ねる
60代の物忘れは多くが“正常な老化”の範囲。一方で、体験自体を忘れる・自覚が薄い・判断力低下などが見られる場合は、認知症の初期サインの可能性があります。迷ったら早めに相談を。
そして予防は完璧より継続。食事は「足し算」で、運動は「分割」で、人との関わりは「楽しさ」とセットで。私自身も、なくしたハサミにイラッとしつつ(笑)、今日できる小さな一歩を積み重ねていきます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。気になる症状は医療機関へご相談ください。